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料理で心身の健康を提供する。食のエンターテイナーを目指すシェフ

シェフ・小久保 隆彦

次に踏み出したい第一歩は?

「健康な料理を提供する自分が健康でありたいから、マラソンを始めたいんです」そう話すのは、イタリアンレストランのオーナーシェフである小久保隆彦さん。イタリアンの考え方にとらわれない彼の料理は、日本人の口に合うように工夫されているといいます。自らが手がける料理と、食事と密接につながる「健康」についてお聞きしました。

未経験から門を叩いた、イタリアンシェフへの道

高校時代から、当時打ち込んでいたサッカーを通じてヨーロッパに興味を持ったという小久保さん。大学入学後、一人で行ったフランス・スペイン旅行が、その後の人生を決めることになりました。料理人になることを決意した後、当時アルバイトをしていたイタリアンレストランで正社員となり、一から料理を学び始めたそうです。

ーーイタリアンシェフを志すきっかけになった出来事を教えてください。

小久保さん:大学時代、一人で行ったフランス・スペイン旅行で英語が通じないながらもなんとかレストランで料理をオーダーすると、ニコニコしたおばちゃんが運んできてくれて。一口食べるととてもおいしくて感動しました。その出来事があって、イタリアンレストランでアルバイトをしていたこともあり、料理人になることを決意しました。

ーー店舗で料理を作る時のこだわりや工夫、心がけていることはありますか?

小久保さん:オープンキッチンなので、目の前で食事するお客さんが求めることを察しながら、オーダーメイドのように料理を調整しています。食べるペースが遅ければ量を減らしたりとか、お酒を飲んでいたら味を濃いめにしたりとか、細かなことなんですけどね。

料理やサービスに対する妥協せず、「食事を提供する以上の価値」を小久保さんは追求しているといいます。「決して安くはないお金を払っていただくのだから、おいしいのは当たり前。それ以上の満足を提供できる、エンターテイナーになりたい」と語ります。料理の技術だけでなく、お客様が感じる満足度にフォーカスしたいと考えているのだそうです。

美味しい料理は作り手の健康から。自分も心身ともに健康でありたい

小久保さんは、人の体を作る料理を提供する立場として、ヘルシーなメニュー作りを心掛けているそうです。また、日本の四季を料理から感じられるように、和食の要素も取り入れながら独創性と日本人に親しみのある味にこだわって料理を作っているのだとか。

ーー日本食をイタリアンに活かそうと思ったのは何故ですか?

小久保さん:お店に来る前よりも健康になって帰っていただきたいと思っているからです。旬の野菜を使ったり、脂っぽいものはできるだけ避けたり、なるべく日本人になじみのある食べ物で、健康的なメニューをご提供しています。イタリアンも和食も「素材を生かす引き算の料理」なので、メニューの考え方はそう遠くないと思いました。日本にはせっかく四季があるので、それを食事からも感じてほしいですね。

小久保さんは、自身の健康についても料理人として意識を高く持っていると話します。料理人の仕事は厨房でフライパンを握るだけではなく、重たい食材を運んだり冷蔵庫の中身を出し入れしたり、意外とハードだそうです。

ーー自身の健康を維持していくうえで、工夫していることはありますか?

小久保さん:自分が健康でないと健康な料理は提供できないので、体調には気を使っています。風邪をひきそうなときは野菜たっぷりのスープを取ったり、体調が悪いときはあえて走って汗をかいたり…。案外体力仕事なので、スタミナがないと続けられません。

ーー次への第一歩として「マラソンへの挑戦」を挙げているのはなぜですか?

小久保さん:心身とも健康を保つことが、食べる人を幸せにする『食のエンターテイメント』につながると思っています。ここ最近体の衰えを感じることもあるので、体力をつける意味でも、新しいことに挑戦するという意味でも始めてみたいなと思っています。

小久保 隆彦

1984年生まれ。福島県出身。都内のトラットリア、リストランテ、フレンチレストランなどで活躍した後、2018年六本木のイタリアンレストラン【colours】オープンからシェフに着任。